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雇用調整助成金の特例措置の拡大について-新型コロナウイルス

厚生労働省は、新型コロナウイルスによる影響を受けている事業主が雇用を維持できるように、2月14日に「雇用調整助成金の特例措置」を実施しました。また、2月28日と3月10日には、さらに雇用調整助成金の特例措置の拡張にも踏み出しています。

2020年4月19日追記

4月1日から6月30日までは「緊急対応期間」と位置づけさらなる特例措置を実施することになりました。

助成金のメリットは、やはり「返済が不要」ということです。
政府は、コロナウイルスによる売上げ減少への対応として、「中小企業に対する融資や保証の緩和」を進めていますが、返済が不要という点では助成金の方が優れているでしょう。

当事務所も、顧問先の企業や、顧問先の社会保険労務士事務所から、多くの企業が新型コロナウイルスの影響により売上げが減少していることを聞いています。
しかし、一旦、労働者を解雇してしまいますと、新型コロナウイルスの騒動が収まった後に、労働力の再確保が難しいおそれがあります。この特例措置をうまく利用することで雇用維持できないかを検討することをお勧めいたします。

雇用調整助成金とは

経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされることがあります。このような場合に、事業主が、労働者の解雇をするのではなく、労働者に対して一時的に休業させることなどで、労働者の雇用の維持を図った場合には、雇用調整助成金により、休業手当などの一部の助成を受けることができる場合があります。

この助成金の対象となる「経済上の理由」には、以下のような「経営環境の悪化」も含まれています。

・取引先が新型コロナウイルス感染症の影響を受けて事業活動を縮小した結果、受注量が減ったために事業活動が縮小してしまった場合。

・労働者が感染症を発症し、自主的に事業所を閉鎖したことにより、事業活動が縮小した場合。

・労働者が感染症を発症していないが、行政の要請を受けて事業所を閉鎖し、事業活動が縮小した場合。

助成内容

助成率

休業を実施した場合の休業手当に対して、大企業は3分の2、中小企業は5分の4
解雇等を行わない場合、大企業は4分の3、中小企業は10分の9

対象労働者1人1日当たり 8、330円が上限(令和2年3月1日現在)

※ 助成額は、前年度の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額等から算定

加算額

教育訓練を実施した場合1人1日当たり 1200円

限度日数

支給限度日数 1年間で100日

受給要件の緩和

第1 特例措置の対象事業主

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主を対象

※これにより、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となります。

※2月14日の特例措置では、「日中間の往来の急減による影響を受ける事業」に限定していましたが、2月28日に対象事業主の範囲が拡大されました。

第2 特例措置の内容

休業等の初日が、令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用します。

1 休業等計画届の事後提出を可能とします。

令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年5月31日までの事後提出を認めます。

※通常は、助成対象となる休業等を行うにあたり、事前に計画届の提出が必要です。

2 生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮+要件の緩和

最近1か月の生産指標(販売量、売上高等の事業活動を示す指標)が、前年同期に比べ5%以上減少していれば、生産指標の要件を満たします。

※通常は、生産指標(販売量・売上高等の事業活動の指標)の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ10%以上減少している事業所であることを必要としています。

3 最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象

雇用指標の最近3か月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合でも助成対象となります。

※通常は、雇用指標(雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量)の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していないことを必要としています。

4 事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とします。

令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を令和元年12月の指標と比較します。

※通常、生産指標等を前年の同期と比較するため、事業所設置後1年未満の事業主は対象となっていません。

5 雇用保険被保険者期間が6か月未満の労働者を助成対象

新規学卒採用者等、雇用保険被保険者として継続して雇用されている期間が6か月未満の労働者についても助成対象とします。

※通常、休業等の日の属する判定基礎期間の初日の前日又は出向を開始する日の前日まで同一の事業主に引き続き被保険者として雇用された期間が6か月未満である者は支給対象労働者とはなりません。

※雇用保険被保険者でない者は、要件を満たば「緊急雇用安定助成金」の支給対象となります。

6 過去に受給していた事業主に対する受給制限の廃止について

過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主であっても、受給可能です。

①前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象となります。

②過去の支給日数にかかわらず、今回の特例対象となった休業等の支給限度日数までの受給が可能です。

※通常は、支給限度日数は1年間で100日、3年間で通算150日までとなっています。今回の特例の対象となった休業等については、過去の支給とは別枠で受給できます。

初回の計画届時に必要な書類(休業の場合)

①休業等実施計画届

休業予定日、規模等を記載。

②事業活動の状況に関する申出書(新型コロナウイルス感染症関係用)

添付書類は「売上」がわかる既存書類の写しでも可

③労使協定書

労使協定書

労働者代表確認書類

④事業所の状況に関する書類

既存の労働者名簿及び役員名簿でも可

 

労使協定で最低限定める事項(休業の場合)

①休業の実施予定時期・日数
②休業の時間数
③対象となる労働者の範囲及び人数
④休業手当額の算定

※計画届や申出書の様式は厚生労働省HPからダウンロードできます。

 

まとめ

その他、雇用保険の適用事業所であることなどの支給要件があります。詳細については、最寄りの労働局の助成金相談窓口にお尋ねになるとよいでしょう。

また、支給の申請には顧問社労士などにお願いするとよいかと思います。当事務所では提携社労士にお願いしています。

なお、この特例措置は、2020年2月14日、28日、3月10日にと3度に分けて追加されています。
また、4月1日から6月30日までを「緊急対応期間」と位置付けて、要件や提出書類の緩和も行われました。

今後も、追加される可能性がありますので、厚労省のHPなどを見て、新しい情報を逃さないようにしましょう。

厚生労働省のHP
追加の特例措置(全国)向けのリーフレット

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