ネット上には、あらゆる誹謗中傷の書き込みが存在します。中には、口コミと称しているものの、中身は誹謗中傷でしかないというものも見られます。実際に、このような誹謗中傷にあった場合、どのような対応をとることができるのでしょうか。
ここでは、誹謗中傷に対する対応法防止策をまとめて解説します。

ネット上の誹謗中傷による影響とは?

ネット上に自社に関連した誹謗中傷が書かれてしまった場合、さまざまな面での影響が考えられますが、会社にとって最も大きな損失は「信用の低下」でしょう。
ネット上では、一人の書き込みでも瞬時にコピー・拡散されて、その数は何倍にも膨れあがることがあります。結果的に、広く会社に対するイメージや信用が低下することになってしまいます。
また、信用低下から派生して、取引先の減少・売上の減退・採用活動の低迷など、多岐にわたって損失を生じることになります。

誹謗中傷への対応法とは

自社に関連する誹謗中傷を発見した場合、何らかの対応をとらなくてはなりません。実際には、次のような方法をとることができます。

削除フォームによる削除依頼

誹謗中傷を行った相手が判明している場合は、直接相手に削除請求を行うことが考えられます。また、誹謗中傷が掲載されているサイト自体に「サイトのガイドライン違反の報告」「削除フォーム」が備わっている場合には、これらを通じてサイト側に削除請求をすることができます。ただ、削除するかどうかは、相手方やサイトの管理者・運営者の判断によるため、必ず削除されるとは限りません。

送信防止措置依頼による削除

特定電気通信役務提供者(プロバイダ、サーバの管理・運営者等)に対しては、「プロバイダ責任制限法」という法律が適用され、その中には発信者情報の開示削除請求などについて定められています。
この法律により、誹謗中傷された被害者は、送信防止措置依頼を行って悪質な書き込みの削除を依頼することができます。依頼にあたっては「送信防止措置依頼書」を送る必要があり、そこには具体的に、「情報が掲載されている場所」「掲載されている情報」「侵害されたとする権利」「権利が侵害されたとする理由」を記載しなくてはなりません。
依頼書を受け取ったプロバイダ等は、発信者に対して当該情報を削除しても良いかどうかの照会を行い、7日以内に発信者から反論がなければ削除を行います。また、発信者と連絡がつかない場合や、発信者が削除に同意しなかった場合でも「権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由」が認められれば削除するという扱いになっています。

裁判所に削除仮処分の申し立てを行う

それでも削除されない場合は、裁判所に「削除せよ」という仮処分決定を求める方法があります。裁判所が一応の権利侵害が認められると判断した場合には、一定の担保金を立てることで「削除を仮に認める」という決定を出します。
この決定が出された場合にはほとんどのプロバイダが削除に応じますので、最も強力な方法と言えるでしょう。

誹謗中傷から会社を守るためにできることとは?

不特定多数の誹謗中傷から会社を守ることは容易ではありませんが、なるべく社会的信用を損なわないために対策は講じなくてはなりません。できることは、大きく分けて2つです。

誹謗中傷の有無を定期的に確認する

エゴサーチなどを利用して自社についての情報を収集し、インターネット上に誹謗中傷の書き込みがなされていないか、定期的に確認することをおすすめします。
特に、最近ではTwitterや動画サイトであるYoutubeなどでも、個人からの情報発信が容易です。その上、相手が目の前にいないため、倫理観を欠く内容や表現が安易に使われる可能性も、残念ながら高い傾向にあります。
そのため、会社側としては定期的に誹謗中傷の有無を確認し、誹謗中傷の書き込みがあれば可能な限り早い段階で、削除依頼などの対策をとることが求められます。

顧客の不満を解消できる受け皿をつくる

誹謗中傷の要素を含んだ書き込みの原点には、会社への不満や不快な気持ちがあるはずです。しかし、これらのネガティブな感情を解消する手段がないため、インターネット上での誹謗中傷という行為へと発展するケースも多いと考えられます。
そのため、「お客様相談窓口」のように顧客が抱えたネガティブな気持ちを正当に解消できる機会を設置しておくことも、有効な対策の一つといえるでしょう。
しかし、このシステムが形骸化している、または対応が芳しくないとなると更なる不満を生み出しかねません。システムの構築と同時に、担当部署に対する適切な対応の教育も必要となります。

まとめ

インターネット上での拡散力は想像以上に強く速いものです。デジタルタトゥーという言葉の通り、一度ネット上に書き込まれた情報は完全に消えることはないとも言われており、そのダメージは計り知れません。ネット上で誹謗中傷にあった場合、その対応は時間との勝負になります。迷わず、一刻も早く警察の窓口や弁護士に相談し、法的な措置をとることをおすすめします。